日本初の小型ボールバルブ
「エースボール」
製品開発ストーリー

次代のニーズをとらえた新製品の開発を目指して


アソー株式会社
代表取締役 浅生隆一

オイルショックにより日本全体がパニックに陥った1973年。 大不況の波にアソーも例外なく巻き込まれ、主力だったファンコイル用バルブの受注が激減する中、
「新しいニーズを掘り起こす付加価値製品が必要だ」
と、先代社長の浅生和良は新製品の開発に乗り出しました。

その時、彼の頭の中には、以前から温めていたあるアイデアがありました。
従来、小型ボールバルブにおいてコックと継手は別の部品であり、現場での接続作業に手間がかかる上、流体漏れも避けられませんでした。
そこで、
「コックと継手を一体化させた、新しい小型ボールバルブを作ろう」
と考えたのです。

様々な課題をクリアし、新たな小型ボールバルブの製品化に成功

開発は、当初の予想を超える困難なものとなりました。

専用マシンをを導入し、ネジ山の細かい精度を追求することで、ハンドルの操作性を大幅に向上。金属同士を接着する接着剤も、さまざまな種類を試し、最適なものをセレクトしました。
小型ボールバルブは小さ過ぎて、通常の締付けツールでは掴むことができないため、自社でツールを開発。
"ステム"という部材の装着方法についても、上部から挿入する通常の工法とは異なり、内部から挿入する方法を開発、創意工夫により壁を乗り越えていきました。

洗練されたデザインと、覚えやすいネーミングで注目

ついに業界初のボール・継手一体化による小型ボールバルブが完成しました。

和良は、
「従来と同じような形状のまま市場に出してもインパクトがない。扱いやすく、しかも見た目にも美しい工業製品にしたい」
と考えました。実は、彼はアソーに入社する前、アパレルメーカーにおり、デザインに強い関心を持っていたのです。まるでスタイル画を描くように、ハンドルのデザイン・スケッチを繰り返し、現在のスタイリッシュな形状に仕上げていきました。
ハンドルカラ―に、アソーのコーポレートカラーであるオレンジを採用。それまでのバルブの固定観念を覆す、洗練されたデザインの製品が完成しました。

また、ネーミングについても、以前からアソーの製品に"Ace"というブランド名を付けていたことから、
「お客様が覚えやすく指名買いしていただくために、"エースボール"と命名した」
と聞いています。
ちなみに、エースボールのロゴマークの"A"は、ネジ山の形状を象ったものです。

代理店方式で全国販売網を確立し、ヒット商品に成長

エースボールは機能性やデザイン性だけでなく、販売においても新方式を選択しました。管材店や工具店へ営業活動を展開し、製品の斬新さが評価され代理店契約を次々に締結することができ、全国の販売網が確立するまでそれほど時間は掛かりませんでした。

代理店様のご尽力もあり徐々に売り上げが伸び始め、発売から約10年が経った頃には生産が追いつかない程のヒット商品になりました。そして今、エースボールは小型ボールバルブのスタンダードと認知頂けるようになったのです。

ライバルは自社製品。さらなる開発努力を続けてまいります

エースボール発売後、ステンレス製の"エースボール21"や、ニードルバルブと継手を一体化した"チッコロ""チッコロ‐α"、そして、流体の逆流を防ぐ"エーチェック"など、業界をリードする製品を次々と開発してまいりました。

「次はどんな製品を出すのか」という、お客様からの期待に応え、さらに独創的な製品づくりに磨きをかけてまいります。

既に世界中で活躍する産業機械・建設機械などにもアソ―の製品が使われており、これまで以上に世界マーケットに求められる製品の開発に努めていきたいと考えています。

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